蛇口から張った水に、琥珀色のエールを注ぐ。それだけで、ホップの香りがはっきりと立ちのぼった。
長野・湯田中温泉。開湯は7世紀にさかのぼる古い湯の町に、クラフトビール醸造所と貸切スパが同居する日帰り施設がある。運営しているのは、隣で60年以上続く温泉旅館だ。ブルワリーが出来てからわずか1年で全国の審査会でも賞を獲っているビールに浸かって、さらに湯上がりには同じビールを飲む。他ではなかなか体験できない面白さを、元酒類バイヤーの目線で記録する。
料金やプラン、3時間の実際の流れ、7種のビールの味、予約前に知っておきたい条件まで、順に詳しく記していく。
PR|本記事は施設のご招待による体験レポートです。飲食代は自費です。
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
張った水に、ガラス容器のビールを好きなだけ注ぐ
YUDANAKA BREWERY COMPLEX U は、こんな施設
長野・湯田中温泉。長野電鉄の湯田中駅から徒歩約10分、信州中野ICから車で15〜20分
営業 11:00〜19:00。日帰り専門で、ディナー営業はなし
ビールスパは3時間 お一人9,350円〜(2〜4名・要予約)。飲まない人は1,000円引き
自社醸造のクラフトビール7種から選ぶ、1人1リットルのサーバー付き
天然温泉の露天風呂、100℃のサウナ、ビールを注ぐ水風呂。すべて完全貸切
入れ墨・タトゥー不可、2階の個室は18歳未満のみの利用不可
予約は公式サイトの予約フォーム か電話。雰囲気を先に知りたい方は記事末尾の動画 へ
1. YUDANAKA BREWERY COMPLEX Uとは|施設の全体像
石を詰めたガビオン壁と、Uのロゴ
YUDANAKA BREWERY COMPLEX U は、湯田中温泉の旅館あぶらや燈千が2022年10月に隣接地へ開いた、クラフトビール醸造所と貸切スパの複合施設である。宿泊はできず、日帰り専門。運営会社と開業の経緯は11章 にまとめた。
建物の外壁は、金網に石を詰めたガビオンで覆われている。温泉街の中にありながら、旅館の意匠ではない。近づくと、大きく「U」のロゴが掲げられている。
施設名のサイン。壁一面がガビオンになっている
施設名の「U」は、体験を意味する英単語の語尾から取られている。つくる、触れる、食べる、観る、学ぶ、知る。そして U=you。訪れた人が主語になる場所、という意味だ。
構成はシンプルで、1階が「飲む・食べる・買う」、2階が「浸かる」。
1階には、ガラス張りのクラフトビール醸造所、ビア&カフェ「TERRACE U」、チョコレート専門店「oN CHOCOLATE」、信州の品を集めたショップ、そして無料の足湯テラスがある。2階が貸切のスパで、全7室。
入口前の足湯テラス。無料で使える
足湯テラスのすぐ近くに休み処もある
足湯テラスは入口の前にあり、休み処もすぐ近く。スパを予約していなくても、周辺の散策帰りにここに立ち寄りひとやすみ、という使い方もできる。
ヘリンボーンの床、薪を積んだ什器、ガーランド。旅館の付帯施設という雰囲気ではない
1階に入って最初に感じるのは、旅館の付帯施設という感じがまったくしないことだ。ヘリンボーンの床、緑をふんだんに使った内装、薪を積んだ什器。窓が大きく、昼間はよく光が入る。
カフェの席から、ガラス越しに醸造タンクが見える
レストランのガラス越しには醸造タンクが並んでいる。飲んでいるビールが、その向こうでつくられている。この距離感は、ブルワリーならではだ。
2. ビールスパの料金とプラン|9,350円〜・ノンアルは1,000円引き
この施設の料金は「部屋を借りる室料」と「プランの料金」の2系統がある。先に結論を書くと、ビールスパは3時間でお一人9,350円〜、2〜4名での利用が前提だ。
スパだけを使う場合
公式サイトの表記は「1名様3時間4,400円から」。これは部屋を複数人で使ったときの1人あたりの目安である。
外部の予約サイトに掲載されている2名利用時の室料を見ると、サウナなしの部屋が3時間8,800円、サウナ付きが3時間11,000円。
以降1時間ごとに加算され、最大7時間まで設定がある。1室4名まで。
つまり、人数が増えるほど1人あたりは安くなる。2人で行くと1人4,400円(サウナなし)、4人なら1人2,200円という計算になる。
ビールスパ・チョコレートスパ
ここからがプラン料金。いずれも3時間で、2〜4名での利用が前提になる。
ととのうクラフトビールスパ&サウナ
一人 9,350円〜(3時間)。7種から選ぶビールサーバー(1名1L、500ml単位で別銘柄も可)、アロマロウリュ、ビールの水風呂、ととのいオロポ、ポンチョ付き
醸造見学&クラフトビールスパ
一人 10,850円〜(3時間)。上記に加えて、約1時間の醸造見学。造り手がタンクの前まで案内し、醸造器具の操作体験と、熟成途中の「若ビール」の試飲、蔵出し2種の飲み比べが付く
贅沢チョコレートパックスパ
3時間 9,350円〜。サウナ用のチョコレートパック、ロウリュ用のチョコレートフレグランス、チョコレートアロマの入浴剤、アシェットデセールとドリンクのセット
ビールを飲まない人(運転する人など)には、ノンアルコール対応があり、1,000円引きになる。ハンドルキーパーがいるグループでも、料金面で不公平になりにくい。
もし次に行けるなら、私は醸造見学付きを選ぶだろう。差額1,500円で、造り手が1時間案内してくれて、熟成途中のビールまで飲める。ビールに興味がある人にとって、選びやすい価格だ。
チョコレートスパは、チョコレートを浴びて、食べて、持ち帰るというカカオのフルコース。今回は選ばなかったが、同じ7室の中でどちらかを選ぶ形になる。
予約方法、キャンセル料、タトゥーなどの利用条件は5章 にまとめた。
3. ビールスパ体験|水風呂にクラフトビールを注いで浸かる
ここが、この施設に来た理由である。部屋やサウナの設備は次の章で書くとして、まずは核心のビール水風呂から。
最初はこの状態。ここに自分で水を張る
水風呂には、最初は水が入っていない。黒い丸い陶器の浴槽が、空のまま置かれている。蛇口をひねって、自分で張る。
これは面倒な手順に見えて、実はよくできている。温度を自分で決められるということだからだ。サウナのあとにキンキンの水を求める人も、ぬるめが好きな人もいる。張る時間と量で調整できる。冬場は水温が低いので、少し早めに張って置いておく手もある。
この量が、まるごと水風呂に入る
その横に、大きなガラス容器に入ったビールが置かれている。写真で量が伝わるといいのだが、飲むためのビールとは桁が違う。これを好きな量、注ぐ。公式のプラン紹介ではスタッフが目の前で注いでくれる流れになっているが、この日は自分たちの手で注いだ。
注いだ直後。水面に泡が広がる
注いだ瞬間に立ちのぼったのは、ホップの香りだった。
これは、正直に言って予想外だった。お湯ではなく、冷たい水に混ぜただけなのにこれだけ香るとは……。麦芽の甘い感じまでも感じられるのだ。
ビールの香気成分は、温度が上がるほど揮発して立ちやすくなる。冷えた状態で香りが立ちにくいのは、飲むときも同じ。冷水でここまで香るということは、相当な量を使っているということだと思う。流石「ビールスパ」の名の通り、惜しんでいない感じが良い。
すくうと、泡が指の間を抜けていく
手ですくうと、泡が指の間を抜けていく。
サウナで温まった身体を沈めると、香りは飲んだときのそれとは別のものになる。飲むときは鼻から抜ける香りだが、浸かると全身が香りの中にある。上がったあとも、身体からも香る。
自分が醸されているような気持ちになった。
この体験の芯にあるのは、飲むビールと浸かるビールが同じ醸造所のものという点である。ガラス越しに見えたあのタンクでつくられたものが、グラスにも浴槽にも入っている。自社でビールを醸す旅館でなければ、成立しない。
外気浴はバスローブで。ラウンジャーはテラスに2脚
あとは、サウナ、水風呂、外気浴を好きなだけ繰り返す。心ゆくまで、この一角は自分たちのものだ。
4. 貸切スパ yamanoyu|露天風呂・100℃サウナ・アメニティ
1階でチェックインし、7種の試飲(6章 )を経てサーバーを受け取り、ロウリュ用のアロマを選んで2階へ上がる。
1階で選ぶロウリュ用のアロマ。フィンランドの Rento のボトルが並ぶ
アロマはこの日、ウッド、炭、ユーカリ、ベリー、シトラスの5種から選ぶ方式だった。選んだのはベリーで、Rentoのクランベリー。
7室の構成
2階の案内サイン。7室の名前はすべて小林一茶のことばから
2階の貸切スパは全7室。公式サイトの区分では、露天風呂のみの部屋が4室(約40㎡、テラス部分を含む)、露天風呂とサウナが付く部屋が3室(約50㎡、同)。ビールスパやチョコレートスパを選ぶ場合は、サウナ付きの3室のいずれかになる。
客室名は、湯田中ゆかりの俳人・小林一茶のオノマトペや句中の言葉から取られている。やまのゆ・かわのね・よるのそら、ふわり・ゆらり・はらり・からり。この日の部屋は「やまのゆ」だった。
居室
壁一面が山霧の写真。プロジェクターも常設されている
ソファのある居室は広く、清潔だった。壁一面に山霧の写真が貼られている。
プロジェクターとスクリーンが常設されていて、主要な動画配信サービスが一通り入っている。3時間のうちサウナ以外も楽しむことが出来るのがいい。
机の上には1リットルのサーバー、ビールグラス、オリジナルブレンド茶。ハトムギ、クロモジ、ルイボスの3種で、これは1階のショップでも買える。電気ポットがあるので、その場で淹れられる。
冷蔵庫の中身は無料
「サ活ドリンク」。裏を見るとオロポ系の配合だった
冷蔵庫には「サ活ドリンク」というオリジナルのドリンクが入っていて、こちらは無料。裏のラベルを見ると、いわゆるオロポ系(オロナミン&ポカリ)の配合である。プランの説明にある「ととのいオロポ」がこれにあたる。
あと、地味に便利なのが、2階の客室からQRコードで1階のレストランにモバイルオーダーできること。上がってきてから「やっぱり何か食べたい」となっても、降りずに頼める。
アメニティ
持ち物を減らせるかどうかは、日帰り施設では重要な情報なので、公式サイトの記載を整理しておく。
【訪問メモ】用意されているもの
フェイスタオル、バスタオル(客室に用意。自由に使える)
バスローブ
シャンプー、コンディショナー、ボディソープ
化粧水、乳液、クレンジングオイル
ヘアブラシ、ヘアゴム、ヘアキャップ
綿棒、コットン、歯ブラシ、カミソリ
ドライヤー、電気ポット、冷蔵庫、内線電話
サウナ付きの部屋には、フード付きのサウナポンチョ
見ていただくと分かる通り、手ぶらでも十分だということ。
サウナの後はバスローブで気軽にくつろぐことが出来る。
洗面台。アメニティは一通りそろっている
テラス
テラスに、露天風呂・水風呂・ラウンジャーが収まっている。サウナ室はこの脇
ガラス戸の向こうがテラス。ここに、露天風呂、水風呂、ととのい用のラウンジャーが収まっている。これが全部、自分たちだけのものになる。
浴槽は天然温泉。部屋によって、八角形の木製のものと、長方形のタイル張りのものがあるそうで、やまのゆは後者だった。
サウナ
サウナ室への入り方について、居室とテラスのどちらからでも良いが、扉を開けるとまずシャワールームがあり、その奥の扉がサウナ室になっている。テラスに出てサウナを探すのではなく、シャワールームを通る、と覚えておけばいい。
居室とテラスの間にあるシャワールーム。サウナ室へはここを通る
木の香りが立つ室内。温度計は100℃を指していた
サウナは、私が入った時点で温度計が100℃を指していた。2〜3人が座れる大きさで、ロウリュ用の石が入っている。
選んだアロマは Rento のクランベリー
桶に団扇と柄杓とアロマがセットされていて、それを持って入る。
マットも人数分そろっている
フード付きのポンチョは、水風呂のあとに羽織るためのもの
フード付きのポンチョは、水風呂のあとに羽織るためのもの。サウナ室の中で着るものではない。
ちなみに、このビールスパのプランは、フィンランド政府公認のサウナアンバサダー「タビサウナ」が監修している。サウナ側から見ても、遊びで付けた設備ではない、ということだ。
5. 3時間の使い方と予約前に知っておきたいこと
3時間は足りるのか
結論から言うと、かなり余裕がある。この日の流れはこうだ。
【訪問メモ】実際のタイムテーブル(3時間)
11:00 チェックイン、1階で7種を試飲。サーバーの中身とロウリュのアロマを決める
11:20 2階の部屋へ。着替えて、テラスと設備をひと通り確認
11:40 サウナ → 水風呂に水を張る → ビールを注ぐ → 外気浴。これを数回
12:40 露天風呂で1杯
13:10 部屋で食事
14:00 会計、ショップで追加の買い物
予約と支払い
予約は公式サイトの予約フォーム か、電話。支払いは現地で、現金・クレジットカード・電子マネー・QRコード決済に対応している。
キャンセル料は、3日前から前日までが50%、当日および無断キャンセルが100%。日帰り施設としては厳しめなので、予定は固めてから押さえたほうがいい。
利用条件
公式サイトのよくある質問に書かれている条件のうち、事前に知っておいたほうがいいものを挙げる。
【訪問メモ】予約前に確認したいこと
入れ墨・タトゥーのある方は入館できない(シールペイントを含む)
2階の貸切個室は、18歳未満のみでの利用は不可。子ども連れでの利用は可能で、ベビーカー可、おむつ替えシートあり
ペットは不可(介助犬・盲導犬・聴導犬は事前連絡のうえ同伴可)
飲食物の持ち込みは不可
全席禁煙。2階に喫煙専用室あり
車椅子でのご利用は1階のみユニバーサルデザイン対応。2階へは階段
無料Wi-Fiあり
温泉なのは浴槽の湯のみ。シャワーと水道水は温泉水ではない
Instagramの体験投稿(@winebeer.cheers)に「いいね」と、施設アカウント(@yudanaka_u)のフォローを来店時に画面で提示すると、湯田中サイダーかクラフトビール(スタンダードシリーズ)1本の特典がある(2026年9月時点。実施状況は変わる場合あり)
タトゥーの条件は、外国からの旅行者や、温泉施設を探している人にとって重要な情報なので、はっきり書いておく。
6. ビールスパ前にクラフトビール7種を飲み比べ
ビールスパを予約すると、チェックインのときに1階のカウンターで7種の試飲ができる。これは味見のサービスというより、部屋に持ち込む1リットルのサーバーに何を入れるかを決めるための導線だ。
真鍮のタップがずらり。手前にはホップとモルトの見本が置かれている
カウンターには真鍮のタップが並び、上の棚には瓶が並ぶ。手前にホップとモルトの入った見本瓶が置いてあるのが、造り手のいる店らしい。
7種が横一列に。色はいずれも淡い金から浅い琥珀のあいだ
並べてみて最初に気づいたのは、色の幅が思ったより狭いことだった。淡い金から浅い琥珀まで。濃色のビールが一本もない。
これは偶然ではなく、この日は青の森が品切れだったからだ。青の森は信州ヒノキで香りをつけたアンバーエールで、恐らく通年ラインナップの中では一番色が濃いと考えられる。代わりに並んだのが、限定醸造のTROPICAL KINMON RICE LAGERという夏らしい一品。
タップから1杯ずつ注いでくれる
各銘柄の説明とペアリングの目安が載っている
メニュー表には、銘柄ごとにスタイル、度数、味わいのチャート、合わせたい料理まで書いてある。こちらを読みながら楽しく試飲させていただいた。
7. YUDANAKA BREWERYのクラフトビール7種を実飲レビュー
ここからは銘柄ごとに書かせていただく。
まず、造り手の側の狙いを先に説明しておくと、YUDANAKA BREWERYのラインナップは3つの系統に分かれている。
【知識ボックス】3つのシリーズ
YUAGARIシリーズ(スタンダード)
温泉地だからこその「湯上がりを楽しむ」がテーマ。日常的に飲む一杯。
Forestシリーズ(スペシャリティ)
信州の四季と県産素材を使う。アウトドアやサウナと合わせることを想定した、ギフト向けの系統。「青の森」「白の森」「赤の森」がここに入る。
Celebrationシリーズ(プレミアム)
記念日や祝いの席のための一本。Champagne AleとSAKE Premiumがここ。
ブランド名は「Aroma Craft Beer」。Aroma はラテン語で香りを意味する語で、テーマは温泉・食・自然。名前のとおり、7種とも香りに重きを置いていそうだ。
YUAGARI ALE(5.0%)
スタンダードの主役。公式の表記はペールエール(アメリカンペールエール)で、スタッフからは「ヘイジーXPA」という説明もあった。ジューシーでホップの香りが華やか、IPAより度数と苦味が控えめでスッキリ飲めるスタイルだ。公式の原料表示では、麦芽はイギリスのエール麦芽とドイツのピルスナー麦芽、ホップはパール(ドイツ)、ザーツ(チェコ)、カスケード(アメリカ)が挙がっている。
香り高く、軽快。苦味は控えめで、飲み口がすっと開く。湯上がりの一杯として設計されている、という説明がそのまま味に出ている。
施設に「湯上がりの推し銘柄は」と質問したときの回答もこれで、ホップを5種類使い、温泉旅館という背景と現代のクラフトビール文化を合わせた一杯として設計している、とのことだった。
YUDANAKA IPA(6.0%)
苦味と香りのバランスが取れた、中庸なIPA。上品なモルトの土台にフローラルな香りが乗り、苦味もしっかりある。奇をてらったところがない。麦芽はミュンヘンとピルスナー(ともにドイツ)、ホップはコロンブス、シトラ、アマリロと、アメリカ産の三種で組んでいる。
IPAという言葉は知っているけれど飲んだことがない、という人にちょうどいい。逆に言えば、IPAを飲み慣れた人には物足りなく感じる可能性もあるが、温泉施設ということを考えると、初心者の方向けでむしろ正解かもしれない。
私はこの日、サーバーの中身にこれを選んだ。
YUKIDOKE WHITE(5.0%)
ベルジャンホワイトのスタイル。原料にコリアンダー、クミン、カルダモン、生姜、オレンジピールが入っている。小麦の甘みがしっかりあって、スパイスは控えめに効いていた。 小麦ビールも随分一般的になったが、こちらも違わず苦味が少なく香り高いタイプ。ビールの苦味が苦手な人に一番すすめやすい一本である。
ちなみに公式のペアリング提案はカレーやエスニックなどスパイシーな料理だ。
白の森(4.5%)
Forestシリーズのハーブエール。原材料は麦芽、ホップ、ミント、ライム。モヒートをイメージしてつくられているとのこと。
ハーブエールと聞くと身構える人がいるが、これは香りの主張が強すぎず、ミントもライムも程よく、強い香りが苦手な人でも飲める。
そして、このラインナップの中でいちばん賞を獲っているのがこの一本である。インターナショナル・ビアカップ2023で銀賞、ジャパン・グレートビア・アワーズでは2023年に銅賞、2024年に銀賞(樽)、2026年にも入賞している。ハーブ・スパイスビール部門での常連だ。
度数は4.5%と、7種の中で最も低いのもいい。公式のペアリングは白身魚のカルパッチョ、生春巻き、そして食前酒。専用の「森グラス」も作られており、この森グラスで白の森を飲むのを推している。
Champagne Ale(6.5%)
Celebrationシリーズ。シャンパン酵母を使い、ピルスナー麦芽と小麦で組んだウィートエール。
華やかな香りが立ちのぼり、乾杯向き、という説明が一番しっくりくる。度数は6.5%と高めだが、そう感じさせない軽やかさがある。ジャパン・グレートビア・アワーズ2024でシャンパンエール部門の銅賞(瓶)を受賞。
ワインを飲む人へのギフトにするなら、これが分かりやすいと思う。
SAKE Premium(5.5%)
これが2025年の金賞である。ジャパン・グレートビア・アワーズ2025、酒イーストビール部門(ケグ)で金賞を受賞している。
原材料は麦芽、ホップ、米。使われている米は長野県産の酒米「山恵錦」で、酵母は長野県の清酒酵母「長野酵母D」。日本酒の材料でビールを醸している、という構成だ。
飲むと、かなりはっきりと甘みとコクを感じる。米感があり、日本酒好きに刺さること請け合いの一品。逆に、キレのいいビールを求めている人には重く感じられるかもしれない。
公式のペアリングは寿司、刺身、天ぷらといった和食全般。ワイングラスで飲むことを推奨している。
ここでしか飲めないという観点からいくと、このビールが私のイチオシである。
青の森(6.0%)
この日は品切れで飲めなかった一本。Forestシリーズのアンバーエールで、信州ヒノキで香りをつけている。プラムのようなアロマがある、と説明されている。
7種の中で唯一の濃色系であり、ヒノキという素材の使い方も珍しい。飲めなかったのは残念だった。次に行くときの目的がひとつできた、ということにしておく。
TROPICAL KINMON RICE LAGER(限定)
この日の代打。米を使った、夏向けの軽いラガーだった。すっきりしていて、暑い日に外で飲みたくなる味だ。
2026年8月に夏季限定として告知された銘柄で、それ以前は TROPICAL HOPPY LAGER という名前の夏限定があった。毎年、夏には軽いものを出す方針のようだ。
【訪問メモ】限定醸造もよく出ている
赤の森(レッドエール、5.5%)— Forestシリーズの派生
AROMATIC JASMINE ALE(6.0%)— 初夏限定。ジャスミン、ラベンダー、ライチ様の香り
スパイシー oN CHOCO スタウト — バレンタイン限定。同施設の oN CHOCOLATE のカカオを使い、シナモンとナツメグを効かせたもの
ウィートワイン「燈 -TOU-」— 周年記念。信州産の蜂蜜を使い、12か月熟成させたもの
限定を出す頻度が高い。同じ敷地のチョコレート店とコラボしたスタウトまで醸しているあたり、複合施設であることを醸造にも使っている。
ちなみにスタッフの方によるとYUDANAKA IPAとSAKE Premiumの2つが人気の双璧だそうだ。
8. 醸造の話|雪解け水と造り手と受賞歴
ブランドコンセプト「YUDANAKA DISCOVERY BREW」
こちらのブルワリーのコンセプトをうかがったところ、非常に確立された回答をいただいた。
YUDANAKA DISCOVERY BREW。湯けむりの町で生まれた一杯を、3つの「発見」として語る構成になっている。
【施設の言葉】3つの発見
第一の発見:湯上がりにひらく、無垢な五感(温泉×アロマ)
湯上がりの五感に、信州の大地が育てたアロマを届ける、という考え方。温泉地の醸造所だからこそ、起点を「湯上がり」に置いている。YUAGARIシリーズがこの柱にあたる。
第二の発見:食卓に満ちる、新しい彩り(美食×ペアリング)
黒りんご、桃、ヒノキといった信州の素材のアロマを料理と溶け合わせ、ビールを食卓の中心に据える。和食のために醸された SAKE Premium や、ヒノキで香りをつけた青の森は、この柱の具体例だ。
第三の発見:物語を共に醸す、創る悦び(共創×体験型アトリエ)
完成したビールを出すだけでなく、訪れた人がブルワーと一緒に自分だけの香りを形にできる場所を開く、という考え方。今回は体験していないが、醸造見学付きプランで造り手がタンクの前まで案内し、若ビールを飲ませるのは、この延長線上にある。
施設の言葉を借りれば、ここでは「飲むだけでなく、醸せる」。U=you、訪れた人が主語になる、という施設名の由来と同じことを、ビールの側から言い直している。
水は自社敷地から汲む
こちらの醸造所は自社工場の敷地内から汲み上げた雪解け水を使っているのだそうだ。志賀高原の麓という立地で、雪解け水が使えること。
これは選んで手に入るものではない。
水はビールの85%程度を占めている、という公式サイトの文言通り、この綺麗な水だからこそ出せる複雑な味わいが、こちらのブルワリーのビールの美点として挙げられるだろう。
造り手のこと
醸造責任者は玉井氏。日本地ビール協会の入賞一覧では「玉井龍次」と記載されている。
公開されている記事によれば、もともと東京の人気アイリッシュパブで統括マネージャーを務めていた人だそうで、いつか自分の手でビールを醸してみたいと志願して、長野へ移住したという。開業時の3種、YUAGARI ALE、YUDANAKA IPA、YUKIDOKE WHITEのレシピは、玉井氏が自ら考案したものだそう。
飲む側にいた人が造り手に回ったことで、ラインナップ全体に「飲みやすさ」への配慮が行き届いているのは、パブのフロアに立っていた人だからかもしれない。
受賞歴を時系列で
この醸造所の受賞歴は、旅館の副業という規模ではない。出典は日本地ビール協会(クラフトビア・アソシエーション) の入賞一覧である。
2023年
白の森 ― インターナショナル・ビアカップ 銀賞(ハーブ&スパイスビール部門)/ジャパン・グレートビア・アワーズ 銅賞(ボトル・缶)
2024年
白の森 ― ジャパン・グレートビア・アワーズ 銀賞(樽)/Champagne Ale ― 同 銅賞(瓶)
2025年
SAKE Premium ― ジャパン・グレートビア・アワーズ 金賞(酒イーストビール部門・ケグ)/YUDANAKA IPA ― 同 銀賞(イングリッシュスタイル・インディア・ペールエール部門・ケグ)
2026年
白の森 ― ジャパン・グレートビア・アワーズ 入賞(ハーブ&スパイスビール部門)
開業が2022年10月なので、翌年から毎年、途切れずに賞を獲っていることになる。しかも白の森は4年連続。特定の一本がまぐれで当たったのではなく、継続的に評価される品質を保っている、ということだ。
受賞歴は1階に掲示されている
9. 湯上がりの一杯と信州食材の一皿|TERRACE Uのメニュー
1人1リットルのサーバー。浮かべておける
サーバーは1人1リットル。1リットル単位で銘柄を選ぶほか、500mlずつ別の銘柄にすることもできる。複数人で行くなら、全員違うものにして回し飲みするのが良いかもしれない。
湯に浸かりながらの一杯。ここに来た理由の、もう半分
サーバーの中身は YUDANAKA IPA。グラスにもUのロゴ
サーバーを露天に持ち込みビールを注ぐ。1杯をゆっくりと楽しんだところで、残りは部屋で食事と一緒にいただくことに。
頼んだ食事
信州牛ローストビーフバーガー 1,580円 信州野菜と自家製牛マヨディップ 880円 信州サーモンの贅沢フィッシュチップ 780円
低温調理のローストビーフにアボカド。IPAの苦味が肉の脂を切る
まずは低温調理のローストビーフにアボカドがたっぷりと入った信州牛のローストビーフバーガーを注文。しっとりした肉に、IPAの苦味がよく合う。
野菜の中にりんごが入っているのが長野らしい。このディップはショップで買って帰った
次は信州野菜と自家製牛マヨディップ。野菜スティックの中にりんごが入っており、いかにも長野らしいと感心してしまった。自家製の牛マヨディップがよくできていて、これはショップでも購入できるとのことだったので、お土産に買って帰った。
タルタル添え。ビールの定番
最後は信州サーモンのフィッシュ&チップス。タルタルが添えられていて、ビールともよく合う。定番だが、県産の魚を使っているのがいい。
他に何が食べられるか
今回は頼まなかったが、メニューはもっと広い。ハンバーガーだけでも5種類あり、志賀高原をイメージした Mt.SHIGAバーガーは2,980円。信州牛スノーバーガー、プレーンバーガー、ときのこのデミグラスバーガーと続く。
ハンバーガーだけで5種類(公式メニューより)
そのほかスパイスカレーやパスタ、ピザや揚げ物、ソーセージなどの肉料理などのがっつり系、蕎麦やサーモンのシーザーサラダ等のさっぱり系、そしてショコラテリーヌやアイスなどのスイーツもしっかり用意されている。
もちろんサーバー以外のビールを頼むことも可能で、ワインも長野のワイナリーであるたかやしろのシャルドネとメルローがグラスで準備されていた。キッズメニューやノンアルコールメニューもあるので、お子様や車を運転する方などにも安心。
夏限定のアフタヌーンティー。2名から(公式メニューより)
またアフタヌーンティーやビールペアリングセットなど、様々な品を楽しめるメニューも嬉しい。
ちなみにこちらの食事が驚くほど美味しかったので、スパを使わずに、レストランだけ利用するのもアリだ。ディナー営業はないため、行くなら昼である。
10. oN CHOCOLATEとショップ|通販の価格も
1階の oN CHOCOLATE。パティシエが在籍している
1階には、チョコレート専門店 oN CHOCOLATE がある。湯田中では初のチョコレート専門店で、「YUDANAKA BEAN TO BAR LABORATORY」を掲げるBean to Barのブランドだ。カカオ豆からチョコレートまで、施設内の工房で手がけているという。
人気No.1、ONCHOCOサンドの売り場
私が選んだのは、人気No.1という ONCHOCOサンド。濃厚なガナッシュを自家製の胡桃クッキーで挟んだもので、自分用にも手土産にも使いやすい価格帯である。
ONCHOCOサンド。胡桃クッキーでガナッシュを挟んである
割ると、胡桃クッキーの間にガナッシュがたっぷり
ほかに、花豆テリーヌサンド、長野県産紫花豆のショコラテリーヌ、ホワイトショコラテリーヌ、信州りんごのタルトタタン、ソフトクリーム、マカロン、ブール・ド・ネージュ(胡麻・黄粉・柚子)など。季節限定でルビーチョコを使ったものも出るという。
ショップ「信州の手仕事百貨」
「信州の手仕事」のコンセプト文が掲げられた棚。オリジナルのサウナタオルは全5種
ビール売り場の隣が、信州の品を集めたショップ。棚に掲げられたコンセプト文には、広大な自然のもとで職人たちが育んできた品を一つずつ選んだ、という趣旨のことが書かれている。
ここで目を引くのが、オリジナルのサウナタオル。全5種で1,100円(税込)。MOKUのライトタオルとのコラボで、Uのロゴ入り。色は落ち着いた5色展開で、温泉と銭湯めぐりが好きな人向けの実用品として、価格も手頃だ。サウナハットも置いてある。
全銘柄が瓶で買える。ギフトラッピングにも対応
ビールは全銘柄が330mlの瓶で買える。瓶とグラスを組み合わせたギフトセットも棚にあった。ラッピングにも対応している。
持ち帰れなかった場合は通販もある。「U-NAGANO SIGNATURE 」というサイトで、1本から選べる単品と、3本/6本のセット。価格を整理しておく(すべて税込、2026年9月時点)。
YUAGARI ALE
単品 660円/3本 2,200円/6本 4,100円
YUDANAKA IPA
単品 730円/3本 2,410円/6本 4,500円
YUKIDOKE WHITE
単品 680円/3本 2,250円
白の森
単品 780円/3本 2,500円
青の森
単品 780円/3本 2,500円/6本 4,800円
Champagne Ale
単品 830円/3本 2,640円/6本 5,100円
SAKE Premium
単品 830円/3本 2,640円
AROMATIC JASMINE ALE(限定)
単品 680円
スタンダードの YUAGARI ALE が660円、プレミアムの Champagne Ale と SAKE Premium が830円。クラフトビールの330ml瓶として見ると、受賞歴のある銘柄でこの価格帯は良心的だと思う。6本セットは3本より1本あたりが安くなるので、贈るなら6本、試すなら単品でばらばらに、という使い分けになる。
9,000円以上で送料が無料になる。要冷蔵で、賞味期限の目安は製造日から約5か月とのことだ。
11. 旅館あぶらや燈千がビールを醸すまで
YUDANAKA BREWERY COMPLEX Uを運営しているのは、株式会社あぶらや燈千。湯田中温泉で旅館を営む会社で、創業は1965年8月、代表取締役は湯本孝之氏。資本金1,000万円、従業員45名という規模である。
隣が本体の旅館、あぶらや燈千
「あぶらや」という屋号は、かつてこの地で営んでいた油問屋に由来する。宿としての歩みを追うと、この会社が何をしてきたかが見えてくる。
2002年、全国に先駆けて露天風呂付き客室を設け、このとき宿名を「ホテルあぶらや」から「あぶらや燈千」へ改めた。そして2017年には旅館業界で初となるルーフトップバー「雪月花」をオープン。2021年には、露天風呂とサウナとシェフズテーブルを組み合わせた客室をつくっている。
つまり、この旅館は20年以上にわたって「旅館の当たり前ではないもの」を客室に足し続けてきた。ビール醸造所と貸切スパの複合施設という一手も、その延長線上にある。
2022年10月1日、隣の敷地に
YUDANAKA BREWERY COMPLEX U がグランドオープンしたのは2022年10月1日。旅館に隣接する敷地に建てられ、延床は1階が357.37㎡、2階が415.66㎡。
開業の狙いについて、湯本社長は媒体の取材で、1泊2日の旅のコンテンツを1日に凝縮することで湯田中温泉の活性化を図りたかった、という趣旨の説明をしている。
コロナ禍で宿泊需要が落ち込み、代わりに近場を短時間で楽しむ動きが強まった時期である。泊まらない人にも、この町で過ごす理由をつくる。それが施設の出発点だった。
「中抜け勤務」という業界課題
もうひとつ、開業時に掲げられていたのが、旅館業に特有の「中抜け勤務」の解消である。
旅館の一日は、朝食とチェックアウトの対応で始まり、夕方のチェックインからまた忙しくなる。その間の昼の時間帯は、売上も業務も薄い。結果として、朝働いて、昼に一度上がって、夕方また出勤するという働き方が生まれる。拘束時間が長く、生活のリズムがつくりにくい。旅館で働く人が定着しにくい理由のひとつだ。
日帰り施設を隣につくれば、その空白の時間に売上と雇用が生まれる。理屈としてはきれいに通っている。
実際のところどうなのか、施設に聞いてみた。回答は率直で、人手不足という業界の構造的な課題もあって着手が遅れていたが、今期から労働生産性の向上策と一体で取り組みを始めたところだ、という。
つまり4年かけてもまだ道半ば、ということなのだが、この手の話は「解決しました」と言い切られるより、進行中だと聞かされたほうが信用できる。昼の売上をつくる箱を先に建て、そのうえで働き方に手をつけるというわけだ。
12. 湯田中温泉という場所
長野県の北東、志賀高原の麓に、湯田中渋温泉郷がある。横湯川・角間川・夜間瀬川という三本の川沿いに、湯田中・新湯田中・星川・穂波・角間・安代・渋・上林・地獄谷という9つの温泉が連なり、約80軒の宿が集まる一帯だ。その玄関口にあたるのが湯田中温泉で、長野電鉄の終点・湯田中駅がここにある。
山ノ内町の公式資料によれば、湯田中温泉の主たる泉質名は塩化物泉・硫酸塩泉。色は無色透明で、泉温は65〜93℃。かなりの高温泉である。開湯の歴史は古く、7世紀にさかのぼるとされる。
この町を語るときに外せないのが、俳人・小林一茶である。湯田中は一茶ゆかりの湯として知られ、町には真筆の句碑が残る。世界平和観音、梅翁寺などを巡る「一茶の散歩道」が整備されていて、駅から歩いて回れる。4章 で触れた通り、この一茶の言葉が施設の客室名にもなっている。
【エリア知識ボックス】湯田中渋温泉郷の歩き方
湯田中と渋は、別の温泉
湯田中駅がある湯田中温泉と、その奥にある渋温泉は、徒歩でも移動できる距離だが別の温泉地である。渋温泉には九つの外湯を巡る「九湯めぐり」があるが、大湯(九番湯)を除く8つは宿泊者と地元の人専用で、日帰り客は入れない。
湯田中駅は志賀高原への乗り換え点
湯田中駅からは志賀高原方面へのバスが出ている。スキー・スノーボードで志賀高原に入る人にとって、湯田中は行き帰りに必ず通る場所になる。
地獄谷野猿公苑も同じ谷
温泉に入る猿で世界的に知られる地獄谷野猿公苑は、この温泉郷のいちばん奥にある。湯田中駅からバスで15分ほど。
13. スノーボード帰り・スノーモンキーとの組み合わせ
この施設の立地を考えると、冬のスキー・スノーボード帰りに寄る使い方も良いかもしれない。実際に検討するための情報を整理しておく。
位置関係
施設は湯田中駅から徒歩圏、車なら上信越自動車道の信州中野ICから15〜20分。志賀高原方面へ向かうには、この湯田中を必ず通る。
例えば北志賀高原の竜王マウンテンリゾート(竜王スキーパーク)については、湯田中駅と竜王ロープウェイのあいだに無料のシャトルバスが出ていて、片道約20分。竜王は信州中野ICから約16kmで、山麓駅前に約1,500台の無料駐車場がある。
志賀高原の各ゲレンデや、野沢温泉、木島平からの正確な所要時間は、公式の一次情報として確認できなかったので、断定は避ける。ただし、いずれも湯田中を経由するか、信州中野IC方面へ抜けるルートになるため、動線としては無理がない。
滑ったあとに使うなら
ゲレンデ帰りにこの施設を使う利点は、いくつかある。
ひとつは、完全貸切であること。滑ったあとの大浴場は混む。ここは3時間、誰も入ってこない。板やブーツを持った一行でも、周りを気にしなくていい。
ふたつめは、温泉とサウナと食事とビールが一か所で完結すること。滑ったあとに温泉を探して、それから店を探して、という移動が要らない。
みっつめは、運転する人がいても成立すること。ノンアルコール対応で1,000円引きになるので、ハンドルキーパーが損をしない。
注意点は営業時間で、11:00〜19:00。ナイターまで滑ってから寄る、という使い方はできない。午後の早い時間に切り上げて、そのまま流れ込むのが現実的だ。3時間のプランなら、15時に入って18時に出る、あるいは16時に入って閉館まで、という組み方になる。
寄り道の候補
雪の季節でなくても、周辺と組み合わせやすい。
地獄谷野猿公苑
温泉に入る猿で知られる。標高850m、1964年開苑。入苑料は大人800円、小学生〜高校生400円、小学生未満無料。年中無休で、4〜10月は8:30〜17:00、11〜3月は9:00〜16:00。湯田中駅からバスで約15分、下車後は遊歩道を30分ほど歩く(駐車場からは徒歩約15分)
SORA terrace(竜王ロープウェイ)
山頂標高1,770m。ロープウェイの乗車時間は約8分。雲海が見られることで知られる。湯田中駅から無料シャトルで片道約20分
渋温泉街
石畳の温泉街。九湯めぐりのうち大湯以外は宿泊者・地元専用なので、日帰りなら街歩きが中心になる
一茶の散歩道
湯田中駅の周辺。世界平和観音、小林一茶の真筆句碑、梅翁寺を巡る
猿を見て、施設で3時間過ごして、帰る。これで一日が組める。スノーモンキー目当ての外国からの旅行者が、その帰りに寄る場所としても分かりやすい。
14. こんな人におすすめ
温泉とクラフトビールを一度に味わいたい人
大浴場ではなく、完全貸切で過ごしたい人
志賀高原や竜王の行楽帰りに、日帰りで寄れる場所を探している人
ビールに浸かる、という体験を一度やってみたい人
造り手の話を聞きながら飲みたい人(醸造見学付きプランあり)
子ども連れで、周りを気にせず温泉に入りたいご家族
15. 施設情報・アクセス
施設名
YUDANAKA BREWERY COMPLEX U
住所
長野県下高井郡山ノ内町佐野2578-1
電話
0269-33-4511
営業時間
11:00〜19:00(フードLO18:00/ドリンクLO18:30)※2026年1月に変更
定休日
不定休(公式サイトの営業カレンダー参照)
料金目安
Private SPA 1名3時間4,400円〜/ととのうクラフトビールスパ&サウナ 3時間 お一人9,350円〜/醸造見学&クラフトビールスパ 3時間 お一人10,850円〜(いずれも2〜4名)
予約
公式サイトの予約フォーム 、または電話
支払い
現地払い(現金・クレジットカード・電子マネー・QRコード決済)
アクセス(電車)
JR長野駅から長野電鉄の特急で終点・湯田中駅まで約50分、駅から徒歩約10分
アクセス(車)
上信越自動車道 信州中野ICから約15〜20分。施設専用駐車場あり(無料)
通販
U-NAGANO SIGNATURE
運営
株式会社あぶらや燈千
※営業時間・価格・各種条件は変更される場合があります。予約前に公式サイトでご確認ください(2026年8月訪問)
16. まとめ
温泉旅館が営むブルワリーは、開業の翌年から途切れず全国の審査会で賞を獲り続けているという実績のあるビールを作っている場所だった。
ビールスパというと奇をてらっているように思えるが、実際に体験してみると、量を惜しまず注がれたビールに浸かるという、他では味わえない感覚に浸れる貴重な時間だった。ビール大国チェコのビールスパを、日本の温泉地で、しかも自社醸造のビールでやっている、と言えば近いだろうか。
気軽にビールを楽しみたい方や、贅沢な時間を過ごしたいというサウナ好きの方にもおすすめ。
また、隣のあぶらや燈千で宿泊するのも勿論アリだ。
長野の温泉を楽しみたい方は、日帰り・宿泊どちらの選択肢にも、ぜひ湯田中温泉を入れていただくのはいかがだろうか。
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
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らむこ
元酒類バイヤー。ワイン・日本酒・クラフトビールと食べ歩きの記録を発信中。Googleレビューでは全国上位レビュアー。