ほんのりと怖い話スレ 145
https://mao.5ch.io/test/read.cgi/occult/1631805420/
893 :本当にあった怖い名無し:2021/12/02(木) 00:59:34.62ID:TecfztLT0
神戸の六甲山に、メリーさんの館という噂の廃墟があるという。
この噂は10年以上前から神戸では定番の話だった。
俺を含めたTとK、三人の男もこの話につられてドライブに行ったことがあった。
ちょうど山の中腹あたりに差し掛かった時の事。
うっすらと西洋の館らしき屋根が視界をかすめたので、俺は二人と一緒に車から降りて館の扉の前に立った。
Tが扉を押すと、ゆっくりと扉がひらいた。鍵はかかっていなかった。
緑の芝生に赤レンガの道。
その先には緑青色の銅板の屋根をのせた白地の洋館が建っている。
カフェだろうか? 椅子と机が向かい合わせに整然と並べられていた。
「誰かしら?」と、厳しめな声が聞こえたので見ると、一人の老婦人が立っていた。
ブラウンの髪を後ろでまとめた上品な感じの人だった。
Kが「すみません。扉が開いていたもので勝手に入ってしまって」
Tも「すぐに出ていきます」と言った。
こんな綺麗な館がメリーさんの館なわけない。
まったくの見当違いだと思い。俺たちはすぐに出て行こうとした。
が、老婦人は「いいのよ。少し休んでらっしゃい」と言って二人を椅子に座らせた。
椅子に腰をかけてしばらく待っていると、紅茶とケーキが運ばれてきた。
おいしそうなチーズケーキと、香り立つ紅茶が目の前にはおかれている。
「さあどうぞ。近々、ここにカフェをオープンするから感想きかせて」そう老婦人は言った。
894 :本当にあった怖い名無し:2021/12/02(木) 01:00:06.38ID:TecfztLT0
TとKは少し困っている様子だった。それはなぜか? 俺の分が無かったからである。
なぜか老婦人は俺の方を見ようとはしない。
「せっかくだからいただいたら?」俺は二人をうながした。
その後、二人は老婦人と楽しい昼下がりの会話を楽しんだ。
俺はまったく楽しくなかった。なぜならこの糞ババアはずっと終始、俺をいないものとして扱い続けたからだ。
最初は戸惑っていた二人も次第に慣れてきて、俺をいないものとして扱うようになってきた。
小鳥さえずるこんな素晴らしい環境でも苛めは生まれる。
世の中から苛めは絶対に無くなりはしない。そう俺は確信していた。
最後にKが「少しはコイツとも喋ってやってくださいよ」とそう言うと、彼女は言った。「私、醜いもの嫌いなのよ」と。
俺は早々に潰れろこんな店と思わずにはいられなかった。
それから10年後。その場を通りかかったので覗いてみると、ババアの館は完全につぶれ廃墟になっていた。
TとKは、あれからしばらくして結婚し、今は二児のパパである。
そして俺は今も独身を楽しんでいる。
どうやら俺は女性には見えにくい体質のようだ。
前の記事:
ほんのりと怖い話スレ その144~まとめ