
- この記事は、次世代を担うユース世代が主役となり、多様な人々と一つのテーブルを囲んで対話するBusiness Insider Japanの共創プロジェクト「NEXT TABLE(ネクストテーブル)」によるコラムです。
- ユース世代が記事を読んで気になったこと、感じたことを等身大の視点で紹介します。
「その条件だと、家賃を上げるか、エリアを変えるか、何かを諦める必要があります」
先日、卒業後に住む部屋を探しに不動産屋へ行ったところ、そう告げられました。
私は現在、大学4年生。来年3月には学生マンションを出て、4月から社会人になります。都心にある職場まで電車で一本、駅徒歩15分以内、オートロック、2階以上、バス・トイレ別、独立洗面台、浴室乾燥機付き。家賃はできれば10万円以内。そんな条件で探していましたが、昨今の家賃上昇もあって、すべてをかなえるのは難しいようです。
では、何を諦めるのか。
そんなことを考えていたとき、神奈川県民の生涯通勤時間は「労働8.3年分」に相当するという記事を読みました。
総務省の統計をもとにした試算によると、全国での平均通勤時間は往復79分。都道府県別で見ると神奈川県が100分ともっとも長く、25歳から65歳まで40年間働き続けたと仮定すると、生涯の通勤時間は約1万6330時間にのぼるといいます。「1日8時間・年間245日勤務」で換算すると、8.3年分の労働時間に相当する計算です。全国平均でも生涯通勤時間は約1万2900時間で、総労働時間の16.5%を占めるというので、通勤とは思った以上に「コスト」なのだと気づかされました。
ただ、自分の大学生活を振り返ってみると、単純に「短ければいい」とも思えません。
私の大学までの通学時間は片道40分ほどでした。
大学からもっと近い場所に住む友人からは「一人暮らしの割には長くない?」と言われることもありました。しかし、あらためて思い返してみると、しんどかったのは「40分」という時間そのものよりも、満員電車にぎゅうぎゅうに押し込まれていた瞬間の方だった気がします。座れて一息付ける日や、空いている他の路線に乗って同様の通勤時間がかかるアルバイト先に行くときなどは、多少時間が長くても気になりませんでした。だから私にとって大事なのは、通勤の「時間の長さ」そのものより、乗る路線がどれくらい混んでいるかなのかもしれません。
新卒のうちから貯金もしたいので、家賃はできるだけ抑えたい。一方、毎日満員電車に揺られる生活も避けたい。家賃を1万円、2万円多く払って通勤時間を短くするのか、それとも毎月の固定費を抑えるために通勤時間を差し出すのか。部屋探しを始めてみて、これは思っていた以上に難しい選択だと感じています。
もっとも、この価値観は人によってまったく違います。友人と卒業後の住む場所について話をする際も、会社から離れた安いエリアや今の実家に住み、他にお金を回す予定の子もいれば、家賃補助を活用して思い切って会社がある都心寄りに住みたいという子もいます。通勤時間をどう捉えるかは、貯金をしたいのか、暮らしを充実させたいのか、あるいはプライベートと仕事の距離感をどう保ちたいのかによって、正解がまったく変わってくるのだと思います。
この記事について話した編集部の人は、片道90分かけて通勤しているそうです。「毎日出社するわけではないから」と、週末の暮らしを充実させられる今の通勤をそこまで苦に感じていないようで、やはり人それぞれ何を一番に求めるかなのだと感じました。「通勤の人生コスト」という視点を知った今、将来の暮らし方の理想や実際の働き方も含めて、選択肢を広げながら部屋探しを進めてみようと思います。
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